苦情処理解決に関する分析と課題

2023年度 苦情処理解決に関する分析と課題

苦情受付体制委員会

◇苦情受付処理状況


2023年度は、福祉サービス苦情解決第三者委員会にて報告した苦情件数は2件であり、苦情を受け付けた事業所数は16事業所中2事業所である。1件は「ケア内容に関すること」であり、「対象者へ説明し納得」「行政機関との調整にて対応」し終結、1件は「その他」(道交法違反及び近隣住民への危険)であった。「早急に対応・改善」し、終結となっている。


◇苦情処理解決に関する分析と課題


過去5年間の苦情受付件数をみてみると2018年度(3件)・2019年度(4件)・2020年度(2件)・2021年度(1件)・2022年度(1件)となっており、1~4件で推移している。

また今年度第1回・第2回の各事業所からのヒヤリハット報告の発生要因を分析すると、「説明・情報不足」によるものが30事例中、18事例みられた。職員態度や介護技術・サービス提供の仕組み等の問題に加え説明・情報不足であったものと、事柄に対し説明不足によるものがあり、この18事例を分けると、ご利用者・保護者への説明・情報不足が11件、事業所内・関係機関間が7件であった。このことから、今年度においては、報告や連絡・説明の重要性を再認識する機会となり、相手への説明の仕方や共有方法・意識の差が課題であると感じた。第三者委員会等で出された苦情やヒヤリハットの報告内容・改善策等について、同様のことを繰り返さないよう各事業所での方法の工夫が必要である。

また環境や社会の意識の変化等により、従来のやり方では通用しないことも出てくるとの助言をいただいた。価値観の多様化への対応や従来の方法の見直しは、ご利用者・保護者の満足度アップに繋がると思われる。一層の福祉サービスの向上に努めていきたい。


◇委員会のその他の取り組み


昨年度に引き続き2023年度についても苦情解決第三者委員会と苦情受付体制委員会主催の法人内研修をそれぞれ2回、オンラインにて実施した。 研修は、新任職員対象と中堅職員対象とし、新任職員対象では、苦情に対する取り組みの必要性と法人内の苦情受付体制の講義を行った。ご利用者の権利擁護に対する変遷や第三者委員・苦情解決責任者・苦情受付担当者の役割、潜在化している苦情の危険性についての説明を行い、「なぜ苦情解決が必要なのか」「なぜ苦情解決はそのようなスキームで行うのか」等の理解を深めることができた。

中堅職員対象の研修では、「クレーム対応の基本」と題し、クレームが起こるメカニズムや対応方法を取り扱った。グループワークでは、参加者の感想から職種や経験年数、対象ご利用者の分野の違い等から出る意見により視野が広がったようである。

今後も委員会として、研修内容を充実させていき、法人全体に苦情への理解や対応等を広げ、深めていきたい。