令和6年度社会福祉法人芳香会事業活動計画概要書

理事長 宇留野 光子

令和5年度も複数の事業所において、新型コロナ・インフルエンザのクラスター発生により、ご利用者・ご家族・関係機関等ご迷惑ご心痛をおかけしました。そして、この事に対応し感染縮小に努めてくれた職員には感謝いたします。感染症発生によるBCPの対応についても各職種が迅速かつ的確に行動できたことは評価いたします。

さて、当法人の財務状況は3年間収益がマイナスとなり、かなり厳しい現状となっております。当然ですが、社会・地域・環境等の変化は著しく早く、その対応を余儀なくされています。このことから中期計画(7年)を策定し個々の事業所の在り方、役割等を鑑み、事業の継続を図ってまいります。

1.事業

(1)内部資源・外部環境の分析、変化を念頭にした事業運営

①事業計画作成時は基より、内部資源、取り巻く環境の変化や方向性の転換時にSWOT分析を行い、目的や目標、やるべき事業・役割としてなされているかの検証・評価を行う。

②近隣市町村の対象者数の推移等、地域の状況を把握し、事業の在り方を常に意識した運営を行う。また地域の他法人、他事業所との交流の場を設け、連携を図る。

③ご利用者・ご家族の意識やニーズの変化を汲み取り、よりきめ細やかなサービスの提供に努める。

(2)新たなサービスの創出
分野を超えた相談職の協同による地域の課題や問題(「社会的孤立」身近な生活課題「制度の狭間」の問題)解決に向けての取組みを行うための体制作りをスタートし、相談職による地域サービスの推進並びに創出と展開へ向けての準備を行う。

2.組織

(1)中期事業計画作成にあたり昨年度下期に整理・再考した社是・経営理念、それに基づき作成した経営方針を法人主催研修(新任・随時採用)は基より各事業所内研修等で職員へ周知・浸透を図る。

(2)事業部制の導入、もしくは各分野の統括責任者(仮)設置の検討を行い、執行部と各事業所をつなぐ機能を構築し、課題解決やスピード感を持った経営判断ができる体制作りを始める。

(3)各委員会の設置要綱における目的と活動内容を精査し、必要に応じて再編を行う。

(4)職員採用の法人一元化の検討を始める。

(5)職員育成システム再構築のため、eラーニングを始めとした研修体系の見直しを行う。

(6)自然災害禍・感染症禍における事業継続計画の精査を行う。自然災害においては、事業所間の連携を含め強化する。

(7)事業継続計画(BCP)の見直しを常に行い、防災士等の防災関係の資格取得等を奨励し、防災と減災の強化に取組み、安心・安全な生活の提供に努めると共に地域の状況を把握しながら活動の場を広げていく。また防災関連の研修や訓練は適切かつ積極的に実施していく。

3.運営

(1)多様性のある職場作り

①令和5年度は継続雇用制度の見直しを行ったが、定年年齢の引き上げについて検討を始める(60歳→65歳)。

②女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画目標達成に向け、職員育成を促進する。
・目標1:管理職(課長以上)に占める女性労働者の割合40%(参考:R5年度29.6% 8人/27人)

(2)魅力ある職場

職員が働きやすく働きがいのある職場環境作りの為、一般事業主行動計画の目標達成に向け、更なる周知、啓発を行う。

【次世代育成支援対策推進法】
・目標1:男性職員の育児休業取得率 7%以上
・目標2:職員一人につき年間の月平均残業時間15時間未満

【女性活躍推進法】
・目標2:職員一人につき有給取得日数年間10日以上

(3)ICT、AI、ロボット等の活用等、質の高いサービスの提供と業務の効率化を促進する。

(4)ホームページのリニューアルとSNSを活用した情報発信方法を検討し、広報活動の強化を目指す。

(5)サイバーセキュリティ対策の為のネットワーク環境の見直しを行う。

4.財務

(1)中期事業計画の基、現有資産と施設整備についての検討を始める。

(2)全ての事業所において事業継続とその方法を検討し、特に収益改善が必要な事業所は改善計画を立てる。

①養護の閉鎖に伴う今後の継続方法について:穂の香

②収益改善計画と事業継続の可否について:特養・ケア・たま保育園

③収益確保と今後の運営について:療護、つくし、蕗(みのりホーム含む)、療育園、牛ヶ谷

(3)法人全体・部門別の経営指標の目標値を設定、各事業所は目標値達成の為に事業計画で数値設定をする。

(参考)
中期計画目標数値

経営指標目標値
法人全体高齢部門障害部門児童部門
収益性サービス活動増減差額率
(営業利益率)
3%以上3%以上7%以上3%以上
安定性現預金対事業活動支出比率3カ月以上3カ月以上3カ月以上3カ月以上
資金繰り事業活動資金収支差額率7%以上5%以上13%以上5%以上
労働生産性4,300千円
以上
4,200千円
以上
5,100千円
以上
4,200千円
以上

備 考

<法人全体の目標値>

WAM(福祉医療機構)が提供する社会福祉法人の経営分析指標過去10年の平均値を参考に設定

〇サービス活動増減差額率3.4%
〇現預金対事業活動支出比率3.8カ月
〇事業活動資金収支差額率7.5%
〇労働生産性4,194千円